就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

社風はいいですか?

大企業に入社したといっても毎日、全社員と交流するなんてことはないわけで、ある事業部の支店のある部のある課に配属されるわけです。そこではせいぜい5〜10人くらいの先輩たちと毎日会って仕事をすることになる。人事異動があっても、部署と顔が変わるだけでいきなり100人も同じ課で仕事をするなんてことは普通はありません。
その部署単位で決められた目標を共有して皆で成果を上げるように努力するわけで、会社で仕事をするということは、例え大企業であっても、実際は少人数のグループで協力してミッションを果たすことになります。家族のように毎日毎日同じメンバーの顔を見ながら仕事するのですから、社風や環境は長く勤めるには非常に大切なもので、決して企業研究の二次的な要素ではないと思っています。8名くらいのグループだと毎日一緒に仕事をしているとそれぞれの大体の性格もわかります。皆が自分と合う人ばかりならいいのですが、まずその部署の直属の上司が皆から嫌われているような人だと、それだけでその職場の雰囲気は悪くなりモチベーションも維持できなくなってしまいます。
また、職場の同僚や取引先・関係先には合わない人もいますし、嫌なタイプの人も必ずいます。無理難題ばかり言ってくる得意先を担当しなければならないこともあります。学生時代は嫌な人とはつき合わないということができますが、会社ではそれができません。本人に職場の上司や同僚はもちろん、得意先などを選ぶ権利はないんですよね。自分がつくった人間関係ではないのに自分がそれを引き受けなければならない。私は学生と社会人の最も大きな違いはここにあるのではないかと思っています。
入社したのは良かったけど、上記のような職場に配属されてしまうと困りますよね。どうすればいいのか、という問題はケースバイケースになりますので一概にいうことはできません。ただ、誰にも相談できないまま放置すると不満が溜まり、ストレスから鬱になったり最悪は自殺という悲劇も起こりかねません。勤務地が一等地で給与も良くてカッコいいビルに入っていて、自分の好きな仕事に従事していても、社風やその独自の習慣的なものがフィットしない職場には(本能的に)ある一定期間を超えると耐えられなくなると思います。脅かすつもりはないけど、社風を甘く見ないでくださいね。

ちなみに2月22日のリクナビNEXTに掲載されていた「退職理由のホンネ」のベスト3は、1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった。2位:労働時間・環境が不満だった。3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなった。です。1位の理由は上からの業務命令なので基本的に逆らうことはできませんが、どこまで自分なりに対案を出したり、コミュニケーションをとったのかによりますが、影で文句をいいながら従うのではなく、退職までするつもりなら納得のできる回答を得られるようにすべきです。積極的に関わって人間関係を良くしていけばそういう問題も解決できたかもしれません。しかし「話せばわかる」というのは万人に通用する言葉ではありません。だから、やるだけのことをやった上での退職なら、次の転職も難しくないでしょう。2位はサービス残業や休日出勤など過労の問題につながる危険な労働環境で改善される見込のないところは辞めざるを得ないでしょう。3位はまさに人間関係です。人間関係がうまくできないのは社風が悪いからだと思っています。「個人的に職場に馴染めなかった」というのはそういう人を生んでしまった職場にも大きな原因があるはずです。これが入社してみないとなかなかわからないというのが問題なんですよね。人事担当から「うちの社風は悪いからそこは覚悟してきてね」なんていうワケはありません。だからいろんな社員に会ってみたりして積極的に探ることは無意味ではありません。

「若者は3年で会社を辞める」というのは、実は昔から「七五三問題」といって中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が3年以内に最初の会社を辞めるといわれていたので、今更始まったことでもないのですが、ミスマッチは昔からあったということ。でも終身雇用が崩れ出した頃から確実に転職人口は増えており、そのなかでも転職に成功した人は約半分といわれています。せっかく就活で苦労して入社したのだから、3年で辞めたいと思っている人は少ないでしょう。でも、「仕事そのものは、好きで入社したのではないけど職場がいい人ばかりなので辞めるつもりはありません。」的な人って結構いっぱいおられます。就活では「安定性」や「自分のやりたい仕事ができる会社」などで企業選択していると思いますが、現実の社会では「自分のやりたかった仕事に就いている人」よりそうでない人の比率のほうが多いのではないでしょうか。でも、好きではなかったけど、好きになった」とか、「元々好きではないけどこの仕事の役割や重要性を知り、すごくやりがいを感じている」という人も少なくありません。人生ってわかりませんよね。あ、誤解しないでほしいのだけど、志望企業を諦めてどこでもいいから働けといいたいのではありませんよ。
夢を持って諦めずに取り組むことは大切で大賛成ですが、道はまっすぐには引かれていないことが多いということです。人生って一部の人を除いて決算してみると「うまくいかなかった」ことの方が「うまくいった」ことよりも多いように思います。私もそうですが、それは受け入れるしかないんですよね。学生時代はまだ人生の3割も消化していないのだから、挫折などの経験もあまりないと思いますが、そういう覚悟をもった上で夢への挑戦は止めないでほしいと願っています。