就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

落ちるエントリーシート

エントリーしてから、エントリーシートの志望動機で悩むのは順番が逆だよね、という話を先日書きました。いろんな設問で悩むというのはわかるのですが、何らかしらの志望動機(みたいなもの)があったからエントリーボタンをポチッとクリックしたはずです。自分が嫌な企業に無意識でエントリーすることはないはずです。何も考えずに「とりあえず知ってる大企業20社にエントリーしておいたぜ」という方は、ご自分でよくお考えください。企業は入社したくもない学生に会う理由がありません。志望動機では、なぜその企業なのか、他の同業B社ではダメなのか。どの程度入社したいのか(だからといって「入社したい意思はほかの誰よりも強い自信があります」なんて書かないでね。)というベクトルは高いほうがいいでしょう。そのためには企業研究、業界研究や実際にリアルで先輩訪問するなど、自分の実感として志望動機が表現できていれば合格だと思います。
「自己PR」は、あなたが入社することで、どんな活躍を期待できるのかをイメージしてもらえるものがいいでしょう。それは実際にやってみたらできなかったという責任を問われることはありません。企業の一員としての実績というのは、一人で成し遂げられた実績ではないからです。通過することを目論んだ「セコイ嘘」は後々の不幸を生む原因になります。
「大学時代にいちばん力を入れたこと」という設問があったとき、特に何も思いつかないという学生も多いと思います。昨日、「みんなの就活悲惨日記」にわかりやすい話があったので一部抜粋しますね。具体的な記入例を紹介していて、その解説も載っているので参考になると思います。

■石渡嶺司氏と読売新聞社採用デスクの原田康久氏の対談
原田 採用担当者はエントリーシートを通して初めてその学生に接します。そのとき、コミュニケーション能力があるというなら、そのことをきちんと書いてくれないと困ります。(中略)キーワードを変えて「リーダーシップ」「責任感」「粘り強さ」などでも全く同じです。
石渡 学生からすれば「自分に語れる話など何もない」とよく言います。だからこそ、抽象表現に逃げてしまう、とも言います。
原田 本当に何もないですか?二十数年間も生きていて?在学中に難関試験に合格したとか、アルバイトの売り上げ で日本一になったとか、分かりやすい話のある学生は確かに少ないでしょう。しかし、アルバイトでもサークルでもありふれた話でもいいのです。具体的な話を 書いてくれれば、どんな学生か採用側は分かって、次の面接に呼んでみようか、ということになります。
 みなさんにとっては「ありふれた」体験でも、そのことをキチンと書く人が今はまだすごく少ないですから、自分の体験を具体的に書いただけでも、相当に有利になります。自己PRを読む側からすると、具体的なエピソードに接することができるほどに、その学生の人間性に触れたことになりますからね。
DIAMOND online:http://diamond.jp/articles/-/10963

また、エントリーシートを読む時間は「1人につき1分前後の時間しかない」らしいです。いかに伝えたいことを要約して印象に残るように書くかが問われますね。でも、執筆のプロじゃないんだから普通にわかりやすく書けばいいんです。「まず結論を先に書け」というのも別に決まってるわけではありません。具体的なエピソードとその時に感じたこと。つまりその体験が自分にどんな影響を与え、何を学んだのかを書けばいいんです。無理に「御社の求める人物像と自分はピッタリ!」とか、「自分のコミュニケーション能力は抜群です!」とかは、よほど論拠を示せる自信がない限り書かないほうがいい。心配しなくても、それは相手が判断してくれます。
エントリーシートにしても、面接にしても、選考成果は出るけど、その「なぜ落ちたのか」は残念ながら知らされません。「貴殿はエントリーシートの入社動機に他社の製品名を記入されていましたので、今回は見送りになりました。ご検討をお祈りします。」というようなメッセージがあれば、次のステップに活かせるのですが、まずこういうものは送られてきません。昨年、母親が「なぜうちの子はダメなのか」という電話を人事にかけてきた方が数人いたのですが、これは今のところ仕方ありません。エントリーシートに書くべきことを書かずに落ちたというのは、反省しないといけません。でも、最終面接までいってダメだったというのは、面接テクニックとかではなく、その企業とのマッチングの問題であり、もしかしてあなたにとっては入社しない方が良かった企業かも知れません。まして社会があなたを否定しているわけではないので、全然凹む必要はありません。日本にはもっといい企業がいっぱいありますよ。