就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

ネガティブ情報って つづき

会社は入社してみないと本当にわからないものなのか。私は自慢じゃないけどコロコロと職場を変えてきました。というか、職種もいろいろ変えてきました。本の営業(セールス)、交通広告の業務、紳士服の販売など全くデザインとは関係ない(こともないが)仕事もやってきました。でも自分はやっぱりこれがしたいと思ってデザイン学校に通い、卒業してからは、念願のデザイン事務所に就職。でもデザイン事務所でも転々としました。中には毎週3日は徹夜というハードな会社もありました。すべて短期間ですが、元々長く勤めるつもりもありませんでした。「転職を繰り返す人=ダメな人」という図式は当時からあったのですが、私はお構いなしでした。というのも将来自分で独立するんだ!という目標があったからで、なぜか自信もあった(笑)からです。

さて、私のことはともかく、この頃の中途採用は新聞の募集広告(10行広告など)で応募するわけです。するといきなり試験と面接です。早いところだと、「採用するので明日から来てくれ」といわれました。この頃はインターネットもありませんし、ポケットベル(ふる〜)もありませんでした。転職とはいえ、その企業を調べるのは簡単ではありません。まして仕事内容なんて「想像」するしかありませんでした。

新卒の就活もインターネットがない時代は、就職情報誌などを見て、読んで、これはと思った企業に巻末についたハガキに住所・氏名・大学名・志望動機などを記入して投函していました。エントリーするのもポチッとクリックすればENTRYできる今とは大違いで、手書きでハガキを何枚も書かないといけないので、これは大変な作業だったと思います。この頃は事業内容や仕事内容などを深く調べる術もなかったので、エントリーのあとは説明会で確認するしかない状況でした。まして、「ネガティブな情報」なんて、まず一言も載っていなかったでしょう。

一方、「就職情報というのは、いいことしか書いていない」という見方があります。これはある意味当たっていると思いますが、だとすれば、書いていることがその企業のもっとも伝えたい「いい情報」だということになりますよね。では、次になぜ、こういうことを書いているのか、何がいいたいのかを理解し、その世界を自分の頭のなかでイメージしてみるといいと思います。そうすることで、何がわかっていて、何がわからないのかが少しクリアになる。
また、いまは一つのことに集中していればいいというような仕事はありません。むしろその逆で、実際は、関係部署との連絡や、過去のデータを取り寄せたり、現地を下見したりと自分一人では仕事を完成させることがほぼ不可能です。なかには自分の思っていたやり方を180度変えなければならないこともあります。
しかし就職情報にはそこまで詳細に書いているのは稀です。書いていてもその前後のつながりや重要性などは、仕事経験のない学生にわかってもらえるように書こうとするとものすごく長文になるし、そこまで書いても理解・イメージしにくいからです。

そう考えると、入社後のギャップというのは、大なり小なりあると思っていたほうが正しい。ないほうが不思議です。だってまったく社会を,企業を,仕事を知らない人が、入社する前にすべてわかるはずがないからです。社風も説明会の時や会社訪問したときと実際は違うかもしれない。でも辞めたくなるような強烈なギャップというのは、特別だと思います。そんな企業がいっぱいあるともっと離職率が高くなるはずです。また、ネットの情報もそのまま鵜呑みにしてはいけません。アンケートなどの統計データもそうです。その層の人にアンケートをとるということ自体がすでに結果を想定しているケースや、手法によっても全然違った数字がでることもあります。

一昔前と較べて就職活動の環境が大きく変わりましたが、本質は変わっていないと思います。ある程度の情報収集は必要ですが、未来の自分を信じて飛び込む勇気も必要です。いまは何でも調べて納得してからでないと不安という人が多いのですが、そんなに簡単に未来のことがわかるなら企業は儲かって仕方ない世の中になりますよね。旅行パンフレットなどで訪問先の写真やデータを調べていくより、現地で初めて見るから楽しいのではないでしょうか。
ネガティブな情報が載っていないということは、「ない」ということではありません。企業といっても人の集まりである限り必ず何かありますよ。だからといって志望企業のネガティブ情報をネットで検索しても、きっとそこには不幸しかありません。ただ、私たち採用広報を制作する立場からいえば、その企業にとって、また求める層の学生を確実に採用するために、あえて公開したほうがいいと思うものは公開するように努めていきたいと思っています。でも本当に相思相愛の採用・就職が実現したとしても、時が経てば人の気持ちなんてどう変わるかわかりません。大好きな人と結婚するときに20年後の気持ちなんて想像できないのですから。

なんだか、よくわからない話になってしまいました。