就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

37,000人のプー太郎誕生か。

あ〜どうしてもブログを書くのを後回しにしていると結局数ヶ月も空いてしまった。私の場合は文章を書くのに時間がかかるので余計です。しかも最近はTwitterも始めたので、140文字のつぶやきパワーの魅力にはまりかかっています。

さて新聞各紙によると、5月22日、厚生労働省文部科学省のまとめによると今年3月に大学や短大などを卒業した学生らの就職状況(4月1日現在)が、大学卒の就職率は91.8%と前年同期を3.9ポイント下回り、過去最低だった1999年度の91.1%に次ぐ厳しいものになった。また短期大学(女子のみ)では88.4%と、こちらも前年同期を6.1ポイント下回った。文部科学省によると、就職が決まったのは34万4000人で、3万1000人は就職が決まらないまま大学を巣立った格好になった。短期大学においても7万1000人が卒業、5万1000人が就職希望したが、6000人は就職先が決まらないまま卒業を迎えたという。
なるほど。思った通り厳しいわけだ。大学・短大卒を合計すると約37000人が就職できていないことになり、この数字は静岡県伊豆市の全人口にあたる。そう思うと、やはり少ない数字とはいえない。

また、2011年新卒予定の大学生・院生の求人倍率は、社員5000人以上の大企業で0.47倍なのに対し、中小企業は4.41倍で超人手不足という状態だ。では、大企業が採用人数を大幅に増やすと内定をもらえなかった学生たちは見事!入社することができたのでしょうか。きっと答えはノーです。エントリーは殺到はするでしょうけど、選考基準が厳しくなった現代では、その基準を緩めてまで採用予定人員を確保するほど人事は寛大ではありません。「なぜ、そこまで厳しくするんだよ!」と思ってる学生も多いと思いますが、第三次産業が70%を占める日本の企業にとって人件費はかなり大きなコストです。ですから、必要でない人(ここがキツイけどま、いいか系)まで採りたくても採れないんです。よく会社には3つの人がいると言われます。それは、「絶対に必要な人」、「いてもいなくていい人」、「いないほうがいい人」です。このうち後者の2タイプは、昔は在籍できましたが、今の時代はそこまで余裕がありません。だから二次面接位まで順調だったのに「お祈りメール」をもらうのは、その面接官(または面接マニュアル)にとって「絶対に必要になりそうな人」に「見えなかった」ということでしょう。だからといって、「本命の3社ですべてお祈りされたよ〜」って人も落ち込む必要は全然ありません。だって、人(企業も人だし)の数だけ価値観が違うし、感じ方(その人のセンサ感度)も違うし、そのときのあなたのテンションにも何らかのマイナス要因が漂ってしまっていたのかもしれません。




なんか中小企業ってねぇ。




中小企業にもいっぱい優秀な会社があるのに、なぜ大企業に集中するのか。そのひとつに採用広報・広告の露出が中小企業の場合極めて少ないからというのも大きな要因だと思う。これについては後日また書きます。
もうひとつ大きな理由に賃金格差などの待遇面だと私は勝手に思っています。今の人はすべて、これからやろうとすることをググッて自分の将来をシミュレーションします。例えば、生涯賃金でみてみると大企業と中小企業との差は残念ながら小さくはない。生涯賃金の平均で大企業で3.7億円、中小企業平均で3億円、100人以下の零細企業だと2.5億円というデータがあります。ランキング1位のキーエンスだと6億1000万円(人気のテレビ局がベスト10に3社もランクイン)というから賃金で考えると大企業に人気が集まるのも無理のないところだと思う。要はまず、ブランドとお金です(でも学生のアンケートでは表面化しない)。違うでしょうか。別に悪いと言ってるのではありませんよ。職業選択は憲法で定められた国民の権利ですから。
この大企業信仰という価値観は教育や育った環境が影響していると思うのですが、私は1年また大学に残って大金を払い、何の保証もない次年度の新卒採用でリベンジするより、中小零細企業でもいいから働いてみてほしいと思う。「そんなとこに入って何が楽しい?いつ倒産するかもしれないじゃん」と思った人、まず大企業が倒産しないという保証なんてどこにもありませんし、経営統合(M&A)も充分あり得ます。それと、「何が楽しいのか?」は、入社してある程度仕事してみないとその仕事の魅力ややりがいなんて絶対にわかりません。そういう意味では大企業も中小企業も同じです。あなたが入社案内の文面通りの感動なり、感触を得られるかどうかは、企業ではなくそこで働くあなた自身に委ねられることなのです。やりがいや仕事のプライドって勘違いしている人が多いのですが、それらは企業から「与えられる」ものではありません。キャリアもそういうステップがあるということであり、その通りに自動的にキャリアアップするとは書いていません。大企業も零細企業もすべて自分次第です。
中小零細企業は大企業を支えていることも多いのですが、中小企業がいつ大企業になるかわかりませんし、今の大企業がいつ消えてしまうか全く読めない時代になりました。そういう意味では非常に面白い時代だと思います。現在のビジネスの世界でも必ずしも大資本だけが有利とはいえなくなってきてることは経済を学んだ方は特にわかっていると思います。
いま、プー太郎も辞さぬ覚悟をされている人がいれば、まずいろいろ調べてみてください。これから採用活動をする企業もあります。データだけではなく「なんか感覚的にいいな、ここ」と思ったら説明会に参加してみてください。なんかよくわからないけど「自分の感性が喜ぶ会社」の発見は、必死でやった自己分析をガタガタに覆してしまうパワーを秘めています。