就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

心変わりは控えめにね。

採用ツールの制作が忙しくてなかなか更新ができなくて3ヶ月も空いてしまった。これからはもう少し日常的な出来事を気軽に更新していくことにします。
現在、数社の採用ツールを制作しているが、そのなかでも数年弊社で作成している企業(誰もが知っている大企業)があり、そことの制作に纏わる話を少し紹介したい。この会社は毎年採用担当者が変わるのだが、どの担当者になっても同じような対応である。ということはこの企業のDNAが脈々と受け継がれているとしか思えない。何の話かというと、採用ホームページの制作中に行われるやりとりのことです。通常はまずラフデザインといって本番制作前に完成イメージを確認してもらってから「本番」の制作に取り掛かるのだが、この企業は最初はこれでOKを出したが、やっぱり変えたいというような「心変わり」されることが「非常に」多い。そうなると我々は「本番」で作成したものを変更しなければならない。これは、メニューを見ながら「春野菜のトマトソースパスタと辛口の白ワイン」を注文し、テーブルに注文した「本番」が運ばれてきたときに「あ、やっぱりカルボナーラと赤ワインがいいかな」と言っていることと同じである。洋服のオーダーメイドでも同じである。これも想像に難くない。もちろんキャンセルフィーを支払えばいいのかも知れませんが、我々の業界ではそれは支払われない。たとえ支払われても、ほとんどの場合はそれに見合った金額は支払われない。所謂下請け会社の泣き所である。その仕事に3日間要した場合、その労力はすべてパーになる。問題なのはこういうことが一度や二度ではなく「日常化」してしまっていることであり、そこに何の罪悪感もなく、「それくらい当然でしょう」的な態度をとられることです。こんなことが続くとどんな制作会社でも倒産してしまう。
これは採用ツールの制作に限ったことではなく、デザイン制作会社ならどこでも経験があるか、または現在進行形だと考えられる。人の気持ちや人の苦労がわかることがコミュニケーション能力の究極の意味だと思うのだが、そういう意味では、この大企業の担当者(さらにそれを許している、または関知していないフリをしている上司も)コミュニケーション能力が欠落しているとしか思えない。下請け業者は立場が弱いので声も上げられないことがわかっているから余計です。大企業はその規模の大きさから、社会的な影響が大きいため、商品やサービスについては徹底しているのですが、社員一人ひとりの言動にも責任を持ってほしい。というか、こういう企業体質は広告や採用アウトソーシング会社にだけではなく、本業のビジネスパートナーとの関係でも同じような問題を起こしているとしか思えない。「嫌なら別に無理にやってもらわなくてもいいですよ、いくらでも業者はあるので」というスタンスがある限りこのような問題はなくならないでしょう。
今回は学生の皆さんには退屈な話で申し訳ないが、採用ツールの制作現場ではこのようなことが多々発生していることを記憶の片隅にでも残してもらいたい。私の知っているデザイナーが受けている仕事では10回以上変更させ、しかも徹夜しないとできないような納期で費用は出さないというような酷い企業(これも大企業)もあります。ホームページや印刷物などのデザイン制作に携わっているクリエイターならこういう経験はほぼ全員あると思います。
もし、あなたが企業の採用担当者になった場合に思い出していただければ幸いです。※最近は新卒の初配属で「学生にもっとも近いので学生のウケがいいのでは?という理由?からか」いきなり人事部採用担当というのも多い。
  
信頼関係
何が言いたいのか、といえば仕事というのは人と人のつながりで成り立つものだということです。結局、仕事というのは人のためにするものである以上、そこに信頼関係がなければ、その仕事には喜びも感謝も感動も何も生まれない。それは単なるモノと貨幣との交換行為であり自動販売機で充分です。B to Bで行われるビジネスはともすればドライに考えがちですが、企業といっても人と人です。法人という実体なんてないのですから。いくら技術やシステムが進歩しても人との関係を軽視したところには、ビジネスとしては成功するかもしれないがそこに感動は生まれることはない。
私どもの仕事は、「これが正解」という答えのない「商品」を提供しています。企業担当者の意見と私どもの意見が対立することも多いのですが、最終的には「これでやってみよう」という結論を両者で見出すことになります。それには信頼関係が不可欠で、それが崩れると企業の担当者やクリエイターの自己主張を無理矢理通すことになってしまいます。そして、その「商品」を利用したことで企業にどう貢献したのかを検証し、駄目だったら「では、さようなら」となるわけです。
信頼とは信じて頼ると書きます。以上のようなことから考えると信じられない人とは仕事をしてはいけないということです。採用の面接でも一瞬で、「あ、この人となら一緒に仕事したい」、逆に「この人とは一緒にできない」とういうような感じを抱くことがある、というような話を人事の方からよく耳にします。そういう意味では志望企業が必ずしも自分に適した企業とはいえないかもしれませんね。(今日はなにか説得力に欠ける話になったような気がします。読んでいただいた方には申し訳ないです。)