就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

ある商社の2010卒採用

先日、ある商社の人事と2010卒採用の振り返りと2011年卒の採用についての打ち合わせをしてきました。
エントリー数や会社説明会には、そこそこの人数が集まったのだが、書類選考で残ったのが約120名。次の一次面接では10名程度まで絞り込まざるを得なかったという話でした。もともと採用予定人数が少ないのだが、結局予定していた人数の内定は出すことができなかったようです。「質の採用」というお話を前にもしましたが、この商社の場合でいうと平均点は確保しているが、それ以上のものが見当たらない。しかも上位校といわれる大学生ばかりだったが「ぜひ採用したい」という気持ちになれないということでした。ここで内定を取れた学生とそうでない学生の差は何だったのでしょう。
この会社は商社だけに語学力は必須条件でした。そして商社というのは自分でいろんな判断をして人を動かしていく能力が必要です。そういう意味で経営者的なマインドと行動力が必要なので、そういうセンスを持っている、または持てそうな人ということになる。「海外でも活躍できる仕事」としてある程度の人気はあるのだが、この会社を受けようとするなら「情報収集」をきちんとして、自分はこの会社に入ってどのように社会に貢献していきたいのか、を考えておく必要があると思います。採用ホームページには多くの先輩社員のコメントが掲載されています。また会社説明会では実際の先輩社員に直接質問することもできます。応募して面接も受けるということは、その企業に入社したいという意思表示です。複数の会社を受けているのは企業も知っていますが、「別に通らなかったら他の会社もあるのでいいや」と考えている人と、実際は他も受けているが「そのようには見えない人」には差があると思います(演技力の話ではありませんよ)。
一方、面接では大人しい人ばっかりでしたが受験した学生の適性検査では、総合的に「やる気」を持った人物という結果が出ていました。内に秘めているということかも知れませんが、そういう意味ではコミュニケーションができなかったと言えるかもしれません。

企業は自社の戦力になる人を採用しようとしています。そのために安くない採用予算も投入しています。学生も大変ですが人事担当者にとっても採用という仕事は一大事ですし、真剣です。本当に厳しい時代と言われていますが、まだ何かそこに企業と学生の温度差がすごくあるように思います。就職出来なくても食べられなくなるわけでもないし、フリーターでもしながらいい仕事を探すというのもあります。選択肢が多いということは必ずしもいいとはいえません。

求める人物像では「能動的に動ける人で、まわりとも協調できる人」というのが多いと思いますが、ソフトバンクの求める人材像について、孫社長が強く言うのは「志を共感できる人間」が欲しいということでした。志を共感するということは同感であるということではありません。その志の実現に向けて努力できる人ということです。この志に共感できるということは非常に大切だと思います。求める人物像が企業理念やビジョン、また実際にやっていることと違う企業というのは、注意したほうがいいでしょう。そういう意味でも求める人物像は、いまや採用サイトにはほとんど掲載されていますが、そこだけを読むのではなく企業のトップである社長がどんな考え方で企業をつくり、今後どうしていこうと考えているのかを確認することが重要だと思います。なぜならば、そこにその企業が今後も成長していくためにはどういう人物が必要になってくるかという情報が隠されているはずだからです。果たしてそれを読み取れるかどうか。