就活と採活と生活

採用広報・広告を創る立場から就活のあれこれを書いてます。

一緒に働きたい人

先日、「就職活動生が100人の世界だったら」という数字を出してみようと思ったんだけど、ツイッターで見かけてしまいました。皆同じようなことを考えるんですよね。ただ、先日R社が発表した学生調査データから気になるところがあったので、それを紹介してみたいと思います。
内定を辞退して入社予定企業を決定した学生が、他に持っている複数の企業を比較するときにもっとも重視した条件を訊いています。
内定辞退した人が100人だったらで人数を出してみる。
(21人:業種)(15人:職種)(13人:一緒に働きたい人がいるかどうか)(10人:給与水準)(8人:安定性)(その他21人:企業規模や雇用条件など)を重視して入社する企業を決めています。
※文科系の学生に絞ると「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」が2位に上昇。
複数の内定を持っているということは、きっと今の企業の人材ニーズにマッチした学生。逆にいえば、今の人材市場に必要な要件とは何かを考え、それを実行してアピールしてきたということでしょう。
さて、この学生たちは、複数の内定を取得した。そしてまずもっとも不本意な企業を辞退。あと残りの複数の企業のうち、どこに入社するかを考えた。そのなかで重視することが先ほどの数字です。結局、こうして悩むということは、取得した内定のなかでももっとも入社したい企業というのがなかった。「5社からもらったけど、○○商事は結局だめだったので、この残りから決めるしかない」ということなんでしょうね。その時点で1位が業種、2位が職種を重視するというけど、元々そんなバラバラな志望だったんですね。ま、それはいいとして「一緒に働きたい人がいるかどうか」が3位にランクインしています。これは就活のなかで実際に出会った社員や、大学の先輩社員などのことだと思いますが、こういう答えが数字になって現れるのは珍しいと思います。
仕事内容などの条件も大事だけど、その会社で「あの先輩と一緒に働きたい」「あの人のようになりたい」と思える人がいることは、すごく大切なことだと思います。当たり前ですが「その人」はその企業にしかいないのですからね。(採用戦略的にも非常に重要なポイントです)。よく「人事の皆さんの対応が良かったので」というのはよく聞く話ですが、「一緒に働きたい人がいたので」というのは、数字としてはあまり出てきておりません。
私は就活のなかで「一緒に働きたいな」と思えるような人々に出会えるような活動を意識して実行してほしいと思います。説明会で熱心に仕事を語っていた社員や、グループワークで指導してくれた社員、忙しい時間のなか自分のために時間を作ってくれて親身に相談にのってくれた大学の先輩社員など、どんな人でもいいんです。大切なことは受け身ではなく自ら積極的に動くことです。きっと、そういう人々と出会える確率は高まるはずです。
これまでは、データなどの情報だけだったのが、人が加わることで、きっと価値観が変わってくると思います。「一緒に働きたいな」と思えるのは人ですから、それはその人の魅力です。何も就活生に好かれる様に作戦を練って演じたわけではないと思うので、その人の仕事そのものや、仕事に対する姿勢や考え方、動き、表情、言葉、声などが、魅力的に映ったということでしょう。(そういうデータがないので、よくわかりませんが。)
「一緒に働きたい人」というのは尊敬できるような人のことなのか、いやいや同僚のように一緒に働きたいと思っているのか。きっと就活のなかで何度か会った人だと思うのですが、そうそう何年も知ってる人ということはないだろうから「一目惚れ」っぽいことではないか。もちろん恋愛ではないんだけど、「その人」の仕事や、考え方、性格などが素敵だな、と思える人に出会えたということ。そして、そのバックボーンは「その人」が「その人らしく」活躍できる職場(企業)であるというところも重要です。きっと「いい会社とはいえない会社」で「あの人と一緒に仕事をしたい」と思うことはあり得ない。自分が感じたことってあまり人に言えなかったりすると思うのですが、これは本能的なものですので大事にしてほしいです。理屈ではなく、自分がいいと思うということは何か自分と+のつながりがあると考えてもいいと思います。

さてさて、「その人」が別の会社にいっても「一緒に働きたい人」と思えるのだろうか。これはわかりませんが、乱暴なことをいうと「その人」はどんな環境でも人を魅了するような仕事ができる人だと思います。なぜそう思うのか。それは経験からです。としかいえません。その人の仕事観というより人生観でしょうね。逆にいまの会社で仕事が面白くない、うまくできない、こんな仕事は俺の仕事じゃないと思って転職する人は、何回会社を変えても同じことをいってます。
よく「恋人のどこが好きですか?」という質問を見かけます。「優しいから」とか「よく気がついてくれるから」とか答えていますが、好きになるのに理由なんてないんですよね。好きになると、どーしようもなく好きになってしまうんですよ。(でもその熱はその時には想像できないが、必ず誰でも冷めるのですがね。)
企業はブランディングで「好き」になってもらうことに必死です。採用ブランドとしてもそういう手法を採り入れている企業もあります。「当社のここは、いろんな人が好感をもってくれるのに以外と知られていない」ことって結構あるものです。採用では、やはり一緒に働く社員を通じて魅力を伝えることが、ブランディングにつながります。だから採用ツールに登場する人選は重要です。企業も学生も、全員がこんな人ばかりではないことはわかっていながらも、その人を通じた話を紹介することでその企業を語ることにつながると信じているわけです。でも、学生が思った「一緒に働きたい人」と、人事が「そう思ってくれるだろう」と推した人とはもしかしたら違いが出てきているのかもしれません。